RPAには3つの種類があります。クラウド上にシステムがあるクラウド型、社員の端末にインストールするデスクトップ型、そして社内にサーバーを立ち上げてインストールするサーバー型です。それぞれRPAごとの特徴があり、どのRPAが自社に適しているかは導入前に検討する必要があります。
ここでは、3つのRPAについて触れながら、クラウド型RPAの長所や短所について解説していきます。
Contents
クラウド型RPAとは?
クラウド型RPAは、クラウドにインストールされており、クラウド上で処理を行なうSaaS形のRPAです。クラウドと名のつく通りクラウド上に存在するため、インターネットを通じてアクセスします。
クラウド型RPAは、RPA自体がクラウド上にあることから、処理に必要なデータなどもクラウド上に保存されます。また多くのツールで、自動化の対象はWebブラウザの操作が中心という特徴があります。
なお、RPAにはクラウド型以外にもサーバー型やデスクトップ型のものがあります。比較ができるように、クラウド型RPAのメリットを説明する前に、先にこれらについて簡単に紹介します。
その他のRPAの種類
前述の通りRPAには、クラウド型RPAのほかには、サーバー型RPAやデスクトップ型RPAがあります。順番に見ていきましょう。
サーバー型RPA
サーバー型RPAは、自社サーバーにインストールされ、そのサーバー上で処理を行なうRPAです。
サーバー型RPAは、同時に複数のRPAが実行できることや、RPAを一括管理でき、変更や更新などをまとめて反映できるといった特徴があります。
しかし、クラウド型RPAやデスクトップ型RPAと比べて導入・運用のコストが高くなる傾向にあります。また、自社サーバーにインストールするため、そのサーバーの運用や保守も行う必要があります。
デスクトップ型RPA
一方、デスクトップ型RPAは社員が使用するパソコンに直接インストールし、そのパソコン上で処理を行なうRPAです。
デスクトップ型RPAは、パソコン上のアプリケーション操作が得意で、ユーザーの都合に合わせてRPAを実行できるという特徴があります。また、サーバー型RPAと比べて、導入・運用のコストが抑えられる傾向にあります。
しかし、社員のパソコンのリソースを使用するため、ロボットを実行している間、パソコンを操作できません。また、一括管理が難しいためシステムのアップデートなどを個別に対応する必要があります。
なお、サーバー型RPAとデスクトップ型RPAについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。併せてご確認ください。
クラウド型RPAの5つのメリット
比較対象としてサーバー型およびデスクトップ型のRPAについて簡単に紹介したところで、クラウド型RPAのメリットを解説していきます。
ここでは大きく5つのメリットを解説します。
1. サーバー構築の必要がない
サーバー型RPAの場合、サーバーの導入から始める必要がありますが、クラウド型の場合その必要がありません。多くのクラウド型RPAでは、契約すればすぐに利用することができます。
またクラウド型はサーバーを構築しないため、サーバー型RPAと違いサーバーの運用・保守についても考える必要がありません。
2. 最新のアップデートを自動で利用できる
サーバーの運用・保守だけでなく、クラウド型RPAのアプリケーションの運用・保守も考える必要がありません。すべてRPAプロバイダーに対応してもらえます。そのため、ユーザーは常に自動で最新の機能を利用できます。
3.RPAツールを時間・場所問わず利用できる
クラウド型RPAツールはインターネット環境があれば、いつでもどこでも使えます。もっとも、このメリット自体はサーバー型もデスクトップ型同じです。しかし、クラウド型RPAは両者のデメリットをカバーする形での利用が可能です。
まずサーバー型の場合、インターネット経由で利用することが可能なものの、社内ネットワークにつなぐ必要があるため、多くの場合VPNなどが別途必要です。一方のクラウドはインターネット経由で直接接続が可能なので、サーバー型RPAと比較して利便性が高いと言えます。
またデスクトップ型の場合、社員が普段使用するパソコンにインストールするため、インターネット環境が不要な作業であれば、そもそもどこでもRPAを実行可能です。
しかし、インターネット環境が必要な作業の場合、パソコンをインターネットに接続し続ける必要があります。そのため、RPAを実行したがインターネット接続が切れてしまい作業が途中で止まった、といったことが発生する可能性があります。
一方クラウド型RPAであれば、インターネット環境に接続したタイミングで作業を指示してしまえば、パソコンのインターネット接続が切れたり、シャットダウンしたりしても、クラウド上で作業を続けさせることができます。
4.端末を占有しない
デスクトップ型RPAの場合、RPAが社員のパソコンにインストールされているため、処理を実行している間は他の作業ができなくなります。しかし、クラウド型RPAはクラウド上で処理を行なうため、ツールを使用している端末を占有しません。そのため、1つの端末でツールを使いながら、通常業務が行うことが可能です。
なお、サーバー型RPAにもこのメリットは存在します。
5.OSの制限がない
クラウド型RPAでは、基本的に端末のOSに制限がありません。パソコンがインターネットに接続でき、RPAツールに必要なWebブラウザが稼働するOSであれば、利用可能です。そのため、Windows・Macのどちらからでも利用することができます。
なお、このメリットもサーバー型RPAと共通です。
クラウド型RPAと他のRPAの比較
このように、クラウド型RPAには他のRPAと比べたメリットが複数あります。一方で、クラウド型では難しい作業などももちろんあるため、自社の環境に合わせて選択する必要があります。
ここでは、環境に合わせた選択がしやすいように、デスクトップ型とサーバー型で分けて比較してまとめていきます。
デスクトップ型RPAとの比較
まずは社員のパソコンで実行するデスクトップ型との比較です。デスクトップ型と比較したクラウド型RPAのメリットは次のようになります。
- クラウド型RPAを利用するパソコンのスペックが高い必要がない
- クラウド型RPAでは一括管理ができる
クラウド型RPAは、パソコン上で処理を実行する必要がないため、デスクトップ型RPAと比較してパソコンに要求されるスペックが低めです。
また、デスクトップ型RPAには一括管理ができないものがありますが、クラウド型RPAは一括管理することが可能です。そのため、大量のパソコンにRPAを導入したい場合などは、クラウド型のほうが有利といえます。
一方、デスクトップ型RPAのメリットは次のようになります。
- デスクトップ型RPAではパソコンにあるデータを操作できる
- デスクトップ型RPAはオフラインでも利用できる
デスクトップ型RPAは、パソコン上にあるデータも含めて自動化が可能ですが、クラウド型RPAの場合、クラウド上にあるデータにしか対応できません。また、デスクトップ型RPAは、インターネットに接続できなくても、作業によっては利用が可能ですが、クラウド型RPAの場合、最低でも一度はインターネットに接続しないと実行できません。
サーバー型RPAとの比較
次にサーバー型RPAとの比較をします。サーバー型と比較したクラウド型RPAのメリットは次のようになります。
- クラウド型RPAのほうが導入・運用コストが低い
- クラウド型RPAのほうが導入にかかる時間が短いケースが多い
- クラウド型RPAではサーバーの運用・保守が不要
サーバー型RPAは自社でサーバーを構築する必要がありますが、クラウド型RPAではそれが不要です。そのため、クラウド型RPAのほうがサーバー型RPAより導入・運用コストが低くなる傾向があります。また、導入するものが少ないクラウド型RPAはサーバー型RPAより導入にかかる時間が短いケースが多いです。
その他、サーバーの運用・保守にも違いがあります。サーバー型RPAは、自社でサーバーを保持するため、サーバーの運用・保守が必要です。しかし、クラウド型RPAは自社でサーバーを保持しないため、運用・保守は不要というメリットがあります。
一方、サーバー型RPAのメリットは次のようになります。
- クラウド型RPAではできない作業も実行可能
- セキュリティが高い
クラウド型RPAは、クラウドにあるデータしか扱うことができません。そのため、社内ネットワークからの持ち出しが禁止されている機密ファイルや、アップロードが難しい大きなファイルなどは扱えません。しかし、サーバー型RPAは、社内ネットワーク上にサーバーを構築するためこれらも扱うことができます。
また、クラウド型RPAはインターネット経由でクラウドにデータをアップする必要があるため、社内ネットワークで完結するサーバー型RPAのほうが、セキュリティは高いといえます。
クラウド型RPAは手軽に導入できる業務自動化ツール
クラウド型RPAは導入・運用コストを抑えることができ、サーバーの運用・保守も不要で手間のかからないRPAです。一方で、実行できる作業に限りがあるため、社内ネットワークへの接続が求められる作業などには向いていません。
RPAはクラウド型、サーバー型、デスクトップ型の3種類あり、それぞれに長所と短所があります。クラウド上にアップしても問題ないデータを元に、Webブラウザでの作業を自動化したい場合、クラウド型RPAを選択してみてはいかがでしょうか。