広告運用にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入すると、作業効率の向上や収益アップなどさまざまな効果を期待できると、多くの企業から注目を集めています。広告運用は定型作業が必要なうえにボリュームのある業務が多いので、うまく取り入れると社内の業務を大幅に効率化できるでしょう。
しかし、RPAは社内中の業務を自動で処理できる万能ツールではないため、どの部分に活用していくかが重要なポイントになります。そこで今回は、広告運用にRPAを導入するメリットや成果を出すためのコツなどをわかりやすく紹介します。
Contents
広告運用とRPA
広告運用は、手順があらかじめ決まっている定型作業やボリューム感の大きい業務が多いことから、RPAとの相性が良いといわれています。定型業務の多さや作業ボリュームの多さがRPAとどのように関係するのかを、具体的に見ていきましょう。
定型作業が多い
広告運用には定期的にデータ解析を行なって成果を確認する必要があるため、管理画面などからデータをダウンロードしてレポートや調査資料を作らなければなりません。
例えば、複数の広告管理画面にログインして、指定した条件でエクスポートしたデータをパソコンにCSVファイルで保存し、CSVの内容を指定の別のファイルに転記する、といった作業が必要です。一つひとつの作業は単純ですが、同じ手順を何度も繰り返すと非常に手間がかかります。
上記の業務にRPAを導入すると、複数の広告管理画面からデータを抽出して整形し、指定のシートに書き込んでストレージに保存するところまで、自動化することが可能です。データを整形する際には、データの書き込み先が間違っていないか確認するため、元データにIDが割り振られます。人が行なうのは、最終確認として行なうID照合だけとなり、作業時間を大きく短縮できます。
作業ボリュームがある
作業自体は簡単であっても、ボリュームがあると結果的には膨大な時間がかかってしまいます。例えば、前述のレポート作成であれば、運用している広告媒体の数とクライアントの数だけデータのエクスポートを行なわざるを得ない可能性もあるでしょう。
一つのデータをエクスポートしてCSVファイルから別のファイルに転記する時間が1分30秒かかるとすると、100件のレポートにかかる時間は1.5分×100件=150分となり、2時間半もの作業時間を要することになります。
これが毎日の定例業務だとすると、1週間に12.5時間(2.5時間×5日)、1ヵ月で50時間(12.5時間×4週間)もの作業時間が発生する計算になるため、この部分をRPAで省力化できると大幅に負担を削減できます。
広告運用の自動化でできること、できないこと
RPAを用いた広告運用の自動化は有効な手法ではありますが、RPAはすべての業務を自動でこなせるわけではありません。そのため、RPAができることとできないことを見極めて、自社にとって効率的な運用を実現できる新しい仕組みを作ることが重要です。
できること
RPAで自動化できる業務のなかでも、次の3つは事例が豊富にあります。
レポーティング
広告運用の際に指標や効果を定期的に計測し、レポートを作成する際の補助を行なうことが可能です。具体的には、管理画面からレポートをダウンロードして、Excelやスプレッドシートなどへ自動的に数値をコピー&ペーストするなどの作業が想定されます。
「広告運用とRPA」の項でも述べたとおり、レポーティングは重要な作業ではありますが、工数が膨らみやすい側面もあります。RPAを活用すれば、作業の短縮化や運用コストの削減が期待できるでしょう。
社内管理業務の一部自動化
社内管理業務は、一つひとつの作業は「少し手間がかかる」程度の業務であっても、取りかかる作業の種類によっては、長時間携わることを余儀なくされるケースもあります。また、業務の頻度によっては累積して膨大な時間がかかる可能性もあるので、RPAを用いて自動化するのが効果的です。
例えば、「広告コストの情報を自動的にダウンロードして自社の基幹システムに取り込む」「タスク管理ツールや勤怠管理システムとデータ連携する」「トラブル発生時に自動検知してアラートを通知する」などの使い方が可能です。
商標違反広告のモニタリング
競合他社などが自社の登録商標をKWで出稿していないかどうか、チェックする作業です。複数のKWを一斉にRPAで検索し、違反している広告がないかどうかを自動的にモニタリングします。
もし違反している広告があった場合は、結果を参照して速やかに該当の媒体へ商標侵害の連絡を入れて対処することになります。
できないこと
RPAは「特定のルールに基づく決まった業務の繰り返し」を得意としています。ルールが決まっている業務をスムーズに遂行する一方で、クリエイティビティが要求される業務の自動化はいまだに難しい状況にあります。最近では、AIを搭載したRPAの研究も進められていますが、本格的な実用化レベルにまで達していない製品が多いといえるでしょう。
現状、RPAを用いて業務の100%自動化を進めるのは難しいため、人の手を効率的に介在させ、求める結果が得られる仕組みを作り上げることが大切です。
RPA導入による成果を出すためのコツ
RPAを導入して広告運用をより効率化し、成果につながるためのポイントを紹介します。むやみにRPAを活用しようと意気込むのではなく、一つひとつの準備を入念に積み重ねていくことで安定的な稼働を実現できるでしょう。
できることとできないことを理解する
ここまで解説してきたように、RPAが担当できる業務には向き不向きがあるのが実情です。広告運用の業務フローを洗い出し、作業レベルに分解し、それらの作業はルール化できるのか?その作業は繰り返しの実行が必要でボリュームがあるのか?といった点を見定めると良いでしょう。
RPAに不向きな業務を必死で自動化しようとしても、期待とは異なる結果になり、導入コストに見合う成果が得られないことも考えられます。できないことを十分に理解したうえで、できることに自動化を効率良く取り入れるのが効果的なRPAの使い方といえるでしょう。
人とRPAが共働するイメージを持つ
業務フローに基づいて、どの部分をRPAに担当させるのか切り分けられたら、実際に稼働させるロボットを作る作業に入ります。RPAが担当する業務の合間にも人手が必要になるので、「人の手で処理する部分」と「RPAが処理する部分」の間のフローがスムーズになるように調整を行ないましょう。
例えば、従来はアナログで進めるために用意していたExcelを、RPAが作業しやすいフォーマットに作り替えるなどの作業が考えられます。人とRPAが共働するイメージを持ちながら準備を進めることで、具体的な利用シーンが浮かびやすくなるでしょう。
広告運用にはRPA導入がおすすめ
広告運用における膨大な定型業務をRPAで自動化することにより、生産性や業務効率、マーケティング効果の向上などさまざまな効果が期待できます。将来的な企業の収益性の向上にもつながることから、RPAの導入は積極的に実施していく必要があるといえるでしょう。 RPA導入時はできること・できないことを十分に理解し、自社の業務フローのなかで適用範囲を明確にすることが大切です。そのうえで、人とロボットがともに働く具体的なイメージを元に準備を進めていくことをおすすめします。