社内の定型的な作業をRPAで自動化できれば、大幅な業務効率化を図ることが可能です。昨今は、政府や自治体などがRPA導入をサポートする助成金・補助金を用意しているため、RPAに興味のある方はこの機会に導入を検討するとよいでしょう。
ここでは、RPAの概要やRPA導入時に利用できる助成金・補助金の申請方法などを解説します。
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RPAを導入する企業は増えている
アメリカのリサーチ会社であるガートナーの調査によると、RPA市場は2024年まで2桁の成長率で拡大していくと予測されています。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、多くの企業でRPAへの関心が高まりました。今後は、すでにRPAを導入している企業での導入規模拡大や、企業内のIT部門以外におけるRPAの利用拡大が見込まれています。
ここでは、まずRPAの概要やRPAが重視されている背景を紹介していきます。
RPAとは?
RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、ロボットを利用して業務を自動化し、効率化することを指します。
RPAのなかでも代表的な機能に、「人間が行なっているパソコン上での作業をロボットにより自動化する」というものがあります。コピー&ペーストや簡単な編集など、人間が普段行なう処理工程を登録するだけで、ロボットが自動で実行してくれます。
RPAの導入に適しているのは、単純な作業を複数のシステムやアプリケーションをまたいで定型的に繰り返し行なうような、手順の決まっている業務です。こうした業務にRPAを導入した結果、従来なら3時間かかっていた作業が5~10分で済むようになった、という事例もあります。
RPAの優れた点は、プログラミングのような専門知識が不要で誰でも利用でき、複数のシステムやアプリケーションをまたいだ作業の自動化が可能な点や、既存のシステムをそのまま活かせる点だといえるでしょう。
RPAが重要視されている背景
RPAが注目を集めている背景には、労働環境の変化が挙げられます。日本では少子高齢化が進み、2065年には2016年と比べて労働人口が4割程度減少するとの試算が出ています。
政府主導で外国人労働者の受け入れや女性の社会進出などを行なっていますが、現場でその効果を実感できるようになるまでには時間がかかるでしょう。そこで、RPAにより定型作業を自動化し、こうした業務を担っていた人にはよりコアな業務に集中してもらうことで労働力を補う動きが見られるようになっています。
さらに、2018年には働き方改革関連法が成立し、少子高齢化で労働人口が減少する分、一人ひとりの生産性を向上させて生産力を維持するための取り組みも始まりました。単純作業を代わりに実行してくれるRPAを導入することで、労働時間を短縮でき、より本質的な企業活動に注力できるようになると期待されています。
※参照元:ガートナージャパン株式会社|2020年9月30日プレスリリース
RPA導入時に利用できる助成金・補助金
ここでは、RPAの導入を検討している事業者が利用できる助成金・補助金を紹介します。
ものづくり補助金
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、小規模事業者や中小企業を対象にした補助金です。これらの企業・事業者が、働き方改革などへの対応に向けて「革新的な製品・サービス開発」や「生産プロセスの改善」に取り組むための、設備・システム投資を支援する補助金です。
ものづくり補助金の補助対象事業の類型は、大きく分けて「一般型」と「グローバル展開型」の2種類があります。このうち、一般型は技術導入費、機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用料なども補助の対象経費となるため、RPAの導入時にも利用可能です。
補助金額は100~1,000万円、補助率は2分の1(小規模企業者・小規模事業者は3分の2)です。単価50万円(税抜)以上の設備投資が条件となっています。
ものづくり補助金の申請方法は以下のとおりです。
- 事業計画書の申請(電子申請)
- 採択通知が届いたら交付申請書の提出
- 交付が決定したらRPAを導入
- 中間監査が終わったら実績報告書の作成
- 確定検査で交付額の決定後、補助金の請求・受け取り
参照元:全国中小企業団体中央会|令和元年度補正・令和二年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領
IT導入補助金
IT導入補助金は、小規模事業者・中小企業が働き方改革などに対応するために、生産性の向上を見込めるITツールを導入する際、利用できる補助金です。
IT導入補助金の申請型は、大きく分けて通常枠A類型・B類型、特別枠C類型・D類型の4種類があります。RPAの場合、他のツールとセットで申請しなければならないなどの要件がありますが、いずれもRPAの導入時に利用可能です。
補助金額は、それぞれ以下のとおりです。
申請型 | 補助金額 | 補助率 | 対象ツール |
通常枠A類型 | 30~150万円未満 | 2分の1以内 | 1つ以上の業務プロセスを担い、生産性の向上に役立つソフトウェア(※) |
通常枠B類型 | 150~450万円以下 | 4つ以上の業務プロセスを担い、生産性の向上に役立つソフトウェア(※) | |
特別枠C-1類型 | 30~300万円未満 | 3分の2以内 | 2つ以上の業務プロセスを担い、複数プロセスの非対面化や生産性の向上に役立つソフトウェア |
特別枠C-2類型 | 300~450万円以下 | ||
特別枠D類型 | 30~150万円以下 | 2つ以上の業務プロセスを担い、複数プロセスの非対面化やクラウド環境への対応が可能なソフトウェア |
(※)=特別枠C類型・D類型もこの要件は前提とする
IT補助金の申請方法は以下のとおりです。
- IT導入支援事業者へ補助金の問い合わせを行ない、RPAの見積もりなどを依頼する
- 補助金申請の際に使用する「gBizIDプライム」のアカウントを取得する
- IT導入支援事業者から申請マイページへ招待してもらい、申請マイページを作成する
- 交付申請書を作成し、IT補助金の事務局へ提出
- 交付が決定したらRPAを導入
- 事業実績報告書を作成し、IT補助金の事務局へ提出
- 補助金の確定通知が届いたら、補助金の受け取り
参照元:サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局|IT導入補助金2021 公募要領 通常枠(A・B 類型)
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者などが商工会や商工会議所のアドバイスを受けて経営計画を作成し、地道な販路開拓などに取り組む費用を補助するものです。
小規模事業者持続化補助金は、業務効率化(生産性の向上)に取り組む事業者も補助の対象です。業務効率化はITの利活用も対象となるため、RPA導入の際にもこの補助金を利用できます。補助金額は最大50万円、補助率は3分の2です。
また、小規模事業者持続化補助金の申請方法は以下のとおりです。
- 経営計画書や補助事業計画書を作成
- 上記書類を地域の商工会議所の窓口に提出し、事業支援計画書の作成・交付を依頼
- 地域の商工会議所から後日、事業支援計画書を受け取る
- 補助金事務局へ申請書類一式を送付
- 交付決定の通知がきたら、計画書に沿って取り組みを実施
- 期限までに実績報告書などを提出
- 商工会議所で報告書などの確認が終わったら、補助金を請求して受け取り
参照元:日本商工会議所|令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】、小規模事業者持続化補助金|持続化補助金とは
自動化・ロボット化導入推進助成
自動化・ロボット化導入推進助成は、品川区内の中小企業が業務効率化を目的として自動化・ロボット化を行なう際に利用できる助成金です。
品川区内に本社もしくはおもな事業所があり、申請締切日までに区内で1年以上事業を継続している中小企業・個人事業主が対象となります。補助金額は最大100万円、補助率は3分の2です。
また、自動化・ロボット化導入推進事業の申請方法は以下のとおりです。
- 申請書を提出
- 申請書の提出後、2週間~1ヵ月の間に書類審査・ヒアリング・助成金の交付決定
- 申請書の提出後、約1.5ヵ月で助成事業実績報告書の提出
- 助成金の交付が確定し、受け取り
助成金・補助金申請時の注意点
RPAの導入で助成金・補助金を申請する際は、以下の点に気を付けましょう。
申請する際にスケジュール管理を徹底する
助成金・補助金はそれぞれ公募期間が異なります。期間内に申請しなければ助成金・補助金を受け取れないため、申請する際にはまず公募の期間を確認し、期間内に申請できるようスケジュール管理をしましょう。
導入後の運用体制を整える
RPAで業務効率化を図るためには、導入後の運用にも目を向けておきましょう。RPAの導入時には関連部門の従業員へ使い方や効果を説明し、導入後には効果を測定して助成金・補助金の交付元へ報告する必要があります。
助成金・補助金を受け取れるからといってはじめからRPAを大きく導入すると、大幅な変更に現場が混乱したり、効果の薄い作業に導入してしまったりすることが起きかねません。まずは小さい規模での導入から始め、効果が出てきた段階で徐々に導入範囲を広げていくのがポイントです。
まとめ
RPAを的確に導入できれば、大幅な業務効率化を目指せるでしょう。
ただし、導入時の規模には注意が必要です。助成金・補助金を受け取れるからといって無計画に導入すると、逆に生産性や効率性の低下につながる恐れがあります。
RPAの導入時には、事前に運用体制や活用方法を明確にし、小規模での導入から始めてみてください。 なお、デジタルワークスでは、現場主導型RPA「RaQubo(ラクーボ)」を提供しています。RaQuboは、専門知識がなくても設定可能なRPAです。これからRPAを導入される企業・事業者の方は、ぜひRaQuboも選択肢の一つとしてご検討ください。